「あっ、あの飲み物美味しそう! ちょっと待ってて、買ってくるー!」


「えっ、翼くん……!?」




手を離して、だだーっと走っていってしまった翼くんを見て、目を丸くする。

猪突猛進に動き出してしまうのはいつものことだけど、この恰好で1人待つのはそわそわするなぁ……。


ひとまず、壁際に寄って視線を落とし気味にする。

落ち着きなく待っていると、近付いてくる人影があって、翼くんかなと顔を上げた。




「綺麗な恰好してるね、これからどっか行くの?」


「え? い、いえ……」


「それじゃあ俺達と遊ぼうよ! その服に合ったいい店知ってるんだ~」


「ご、ごめんなさい、人を待っているので……」


「いいじゃんいいじゃん」




2人の男の人はにこにこしたまま近付いてきて、肩に腕まで回されてしまう。

すごくフレンドリーなのが怖くて、気付いたら足が竦んでしまった。