「可愛い。可愛い、可愛い! ふーちゃん可愛い~!」


「わぁっ! 分かった、分かったから! 恥ずかしいからもうやめて~っ」




試着室から出ると、(つばさ)くんは体当たりするように私に抱き着いてきた。

あちこち跳ねたり、くるんと巻かれたり、内面を反映したような髪をした彼は、幼稚園からの幼馴染み。


今日はお姉ちゃんの結婚式に参加する為の、ワンピースを買いに来ているんだけど。




「ふーちゃん、すっごく可愛いよ! 式の主役になっちゃうかも!」


「そ、そんなことないよ!」




翼くんは何を着てもよく「可愛い」と言ってくれるけど、このワンピースが一番反応がいいみたい。

深みのある上品な青色で、繊細なレースに包まれたもの。

普段地味な恰好ばかりしている私には華やかすぎるワンピースだ。