ツキアッテクダサイ?

 ふざけんな。俺の彼女だ。彼女を愛するのは俺だけでいい。なのになんで。よりによってあいつが言ってるの。しかも、美優さんんおびえてるのに。なんで気が付かないの。本当に惚れたとか思ってんなら、相手の気持ち考えろよ。(ここまで約0.5秒)

「おい、渡辺。俺の彼女怖がってんじゃん。わかんない?」

 少し心を落ち着かせようかと思ったが、無理だった。

 怒気をちっとも隠さない、威圧的な声で言ってしまった。

 渡辺はどうでもいいけど、美優さんに怖がられたらどうしよう。

 そんな心配をよそに、彼の口から爆弾が落とされる。

「は?お前本気か?こんなやつが彼女って」

 もはや何も感じない。これほど起こったのはいつぶりだろうか。

「本気だけどなんか悪い?」

「悪いとはおもってねえ。でも、もっとスペック高い女子がお前の周りうろついてんじゃん」

 お前がスペックとか決めんな。

「俺が惚れたのはこの人だから放っておいてくれないかな」

「いやだね。俺、お前のこと嫌いだから」

 俺も嫌いだ。でも、俺は言わない。何となく、というか自分の中のルールで、嫌いな人に嫌いと面と向かって言わず、自分の中にためておく。もう少しで破りそうだった。

 ふと、美優さんの様子を見てみると、華奢な肩が細かく震えていた。