「えー…なんだろ。競争…とか?」

まあそんなこと絶対あるわけないけど。

彼氏を作るための競争なんてそんなくだらないことあるわけない、と呆れていたこの時の自分を殴りたい。

私はまだ、空想が現実になってしまうことを知らない。

「イケメンをめぐる戦争!?なにそれ面白そう!!!」

声の大きい莉子の言葉に近くにいた別のグループの女子が反応する。

「何?イケメンをめぐる戦争って言った?」

イケメンという単語に反応したのか、ただ話題のネタにでもしようと考えたのか。

理由は知らないけど食いついてきた。

「え、ああ。なんかね、環奈が余程のことがない限り彼氏作らないっていうからどんなことって聞いたら、イケメンをめぐる戦争が起きたりしたら作るかもって」

随分と早口に喋った内容は、私じゃなく莉子が考えた事がてんこ盛りだった。

いや、私はイケメンが好きなわけではないからね。性格重視だよ。

そんなことは今どうでもいいんだけど…