「あー…彼氏欲しい」

「もう、(かおる)いっつもそればっかり言ってるよねー!」

「だって欲しいんだもん。フリーフリーフリー!彼氏募集中でーす」

今日も今日とて賑やかな友達2人に囲まれ、恋愛なんていつからしてないんだろうと考える。

「ってかてか!馨じゃなくて、環奈!」

「…え?環奈?」

彼氏彼女の話の時に自分に話題が振られると思わず戸惑う。

なんで…私?多分私に話振っても面白くないよマジで。

「環奈はそんなに可愛いんだからモテるでしょ!彼氏作んないの?」

彼氏…かぁ。

私にとっては憧れであり、憂鬱な存在。

恋人という関係に憧れる気持ちはある。

でも、以前付き合っていた人はみんなふとした瞬間に冷めてどこかに行ってしまう。

そんな経験から、結局別れるのになぜ付き合うのかわからなくなってしまったのだ。

「よほどのことがない限りはね」

この答えに限る。

作りたくないわけではないけれど、大きな出来事がない限り彼氏を作る気持ちはない。

まあ、余程のことってなんなのかってのは考えてないんだけど。

「えー、なにそれ。」

莉子がつまらなそうにため息をつく。

「余程のこと?余程のことってどんなことが起きたら付き合うの?」

その反面、目を輝かせて質問をする馨