こみあげてくるものを我慢しながら声を絞り出す。
「話し相手がほしかったみたいで……。でも、私が無視して作業してたら急に壁に押しつけられて……。怖くなって逃げようとしたら……要先輩の腕時計が……」
「アイツ……顔に傷つけやがって」
まるで自分のことのように悔しそうに顔をゆがめる理都くん。
それから、少し重そうに口を開いた。
「治して、いい……?」
澄んだ瞳が切なげに問いかけてくる。
意味はすぐにわかった。
それは、理都くんに傷口を舐められるってこと。
そんなの恥ずかしくてたまらないけど。
「……うん」
私はためらうことなくうなずいていた。
ゆっくり理都くんの顔が近づいてきて、私は瞳を閉じた。
膝も恥ずかしかったけど、顔はそれ以上。
ドキドキと高鳴る心臓。



