「理都くんっ!?」
ど、どうして……?
確かに助けを求めたけど。
本当に現れるなんて……。
「はあ? どういうこと?」
床に尻もちをついた要先輩は、相変わらず気だるげな様子で理都くんを見上げた。
腰をさすりながら。
「彼女になにしようとしたんだ」
反対に理都くんが放つのは、氷のように冷たい声。
私は足がガクガク震えて、逃げることも声を出すこともできない。
「ふっ……秘密」
「ふざけんなよっ!」
理都くんは要先輩の前にしゃがむと、ネクタイを引っ張り上げた。
黒いネクタイが引っ張り上げられて、要先輩の顔が少し苦しそうに一瞬ゆがんで、
「ビンゴだ」
目を細めながら、その口元をにやりと上げる。
「……あ?」
「どっかで見たことあると思ったら、この間、理都と一緒にいた女の子だ」
……っ!?



