早く終わらせてとっとと教室に戻ろう……!
「ねえ、仕事なんていいから」
「だ、ダメですよっ」
「真面目なんだね」
要先輩の言葉を受け流しながら作業に集中。
だけどマイペースに話しかけてくる要先輩。
「キミ、小動物みたいで可愛いねー」
「…………」
「なんか、守ってあげたくなる感じ?」
「…………」
「そのおびえた感じ、たまんない」
……なに言ってるの、この人。
とにかく、この間会ったことを思い出されないように顔を背けたけど。
「ほら、やっぱり会ったことあるでしょ」
背けた顔を戻すように、強引に頬に当てられる手。
「ちょ、やめてください……っ」
「なんで? いいじゃん」
「やっ……」
振り払った瞬間、顔に痛みが走った。
要先輩がつけていた腕時計が、私の顔をかすめたんだ。
「あ、ごめん」



