いつも居座るくらい保健室が好きなら保健委員になればいいのに、彼は体育委員らしい。

もっとも、あまりものをあてがわれただけで、委員会はサボッてるって話。


「じゃあ行ってくるね」

「いってらっしゃーい」

「頑張ってねー」


重い腰を上げ、まだのんびりお弁当を食べてるみんなに見送られて、保健室へ向かう。


保健室は1階の端っこ。

日のよく当たる静かな場所に位置している。


「失礼しまーす」


ベッドで寝ている人がいるかもしれないし、そーっと戸を引いて中へ入った。

明るく落ち着いた雰囲気の室内。

ふわあっと、保健室独特の匂いが鼻をかすめた。

消毒液というか石鹸というか、この匂い、案外落ち着くんだよね。

ベッドのカーテンはすべて開いているから、寝てる人はいなさそう。

要先輩の姿も見えない。