今度はさっきよりもかみ砕いて話してくれて、ようやく合点が行った。
「み、見てないです……」
「……ふうん」
「ひ、人違いでは……っ」
視線を横にそらす私はなんとか平静を保っているけど、実は背中は冷や汗だらけ。
だって私……理都くんのこと見てるもん……!
目が赤くなった疑惑のあの日から、確かにすっごい見ちゃってるもん!
また赤くなるんじゃないかってドキドキしながら。
「俺、すごい能力あるからわかんだよ。お前が俺のこと見てんの」
ずいっと顔を近づけられて、直立不動で固まる私。
「えっ……!」
の、能力?
ヴァンパイアは、記憶を消したり時間を止めたりする能力があるって噂がある。
ゴクリ、と唾をのんで理都くんの目をしっかり見つめる
──と。
「……なんて、ね」



