「ふっ……献血っておもしろいこと言うな」
ううっ。笑われた。
私ってば頭が弱い子みたいになってるかも……。
「むしろ……うまかった……」
「へっ!?」
恥ずかしそうに目をそらして言われ、私の方が恥ずかしくて顔が熱くなった。
「あ……っ」
気づいたら、胸元がはだけたままで慌てて合わせた。
ボタンを留めようすると、
「ちょっと待って」
「え?」
「痕を消すから」
なるほど。
普通は、記憶を消している間に吸血して、痕も消す。そこまでがセットなんだ。
「その前に、見ても、いい……?」
吸血された痕が、どうなってるのかなって。
ただの好奇心。
どうぞ、というように手のひらを差し出され、ブレザーから鏡を取り出して首を映し出す。
そこにはふたつの赤い痕がくっきり残っていた。
これが、吸血痕……。



