理都くんの手が、私の頭に優しく添えられた。
しばらく私は理都くんに抱かれるようにしながら、呼吸をととのえる。
緊張して、心臓がバクバクしたせいかな。
ヴァンパイアに血を吸われるなんて、かなりイレギュラーなことだもんね。
「無理させてごめん」
ぼーっとする意識の中で、私は首を横にふる。
普通なら、吸われた記憶は消されちゃうはずだから、気を遣わせることもないのに。
そう考えると、なんだか理都くんに申し訳ない。
どうして私は記憶が消えないんだろう。
自分が異常な体に思えて不安になる。
「もう、大丈夫。ありがとう」
ゆっくり頭をあげると、心配そうな理都くんの瞳とぶつかった。
透き通るような瞳に見つめられて、おさまったはずの心臓のドキドキが復活する。



