肩の力を抜くと、鎖骨の上あたりに理都くんの唇が触れる感覚がして──キバのようなものが肌に立てられた。
「……っう、あっ……」
やだ。
無意識に声が漏れちゃった。
恥ずかしいのとくすぐったいのが入り混じってへんな感じがして。
だけど、一瞬チクッとした痛みを感じたあとは、それを超える痛みはやってこなかった。
……意外。
思ったよりも、全然痛くない。
優しくするから……って、そうしてくれてるのかな?
だけどだんだん心拍数があがって、全身がたぎるように熱くなっていく。
頭が……ちょっとくらくらする。
これが、吸血……?
ううっ……。
うっかりするとまた声が出そうになって、下唇を軽く噛んだ。
自分の心臓の音が理都くんに聞こえたらどうしようって、目をきつく閉じながらそればかり考えていた。



