「吸うのは首元だから、ボタン、外してもいい?」
ここを開かないと吸血できないってことだよね。
理解してうなずくと、まずはするするとほどかれるリボン。
ドキドキドキドキ……。
今から始まる未知の体験に、否応なく暴れだす心臓。
ボタンがふたつほど外されると、理都くんが顔を寄せ、暖かい息が首元にかかるのを感じた。
「わ、私はどうしてればいいの……?」
吸われるときの心得は……?
「べつになにもしなくていい。ただ、大きくゆっくり呼吸してて……」
「うん……」
目をつぶって、そのときを待つ。
「……優しくするから、怖がらなくて大丈夫……」
耳もとにそっと落ちる言葉。
言われたとおりにゆっくり呼吸をした。



