意識的に目を合わせないようにすれ違おうとした瞬間。
「……きゃっ!」
それはあっという間だった。
突然腕をつかまれ、そのまま教室まで引きずり込まれたのだ。
壁に体を押しつけられて、今にも触れそうな位置に理都くんの顔がせまってくる。
つかまれた腕が痛い。
「……り、理都、くん……?」
一瞬のことで、なにがなんだかわからない。
至近距離で見つめ合う理都くんの目は、赤く光っていた。
直後、この間のように目元を手で覆い隠される。
こ、これは……っ。
もしかして吸血されちゃう!?
体に力を入れて、ぎゅっと目を閉じたとき──腕の痛みから解放された。
「悪い……っ」
おそるおそる目を開けると、私から目をそらした理都くんが、近くの椅子に腰をおろしていた。
「……はあっ……」



