中には、ヴァンパイアをよく思わず、襲われたとか騙されたとか、SNSに書き込む人がいるから。

自分の生活を守るために、秘密にして生きているのだ。

だから、このクラスにヴァンパイアがいたっておかしくない。


だから理都くんが、ヴァンパイアってことも……。

やめやめ。


「さ、帰ろう!」


私は首を振って妄想を振り払う。

あの瞳の色は、きっと私の目の錯覚だったんだ。

日誌を書き上げて、パタンと閉じる。


そのとき、ふわりとカーテンが舞って、窓が開けっ放しなことに気づいた。

窓に近づいて。

カチャリ、と鍵をかけたところで。

ふと、背後に人の気配を感じた。


振り返ると、そこには……。


「えっ……」


理都くんがいた。

夕方の、オレンジ色に染まる光を浴びながら立っている姿はまるで絵のよう。