極上ヴァンパイアは、彼女を溺愛して離さない


「理都くんの場合は、ヴァンパイアにもでしょ」

「…………」


まあ、間違ってない。

一番手っ取り早いのは、ヴァンパイア同志で吸血し合うことだが、俺は吸血する行為そのものに抵抗がある。

ヴァンパイアにとっては致命的だな。


「そうそう。隣の席の愛菜ちゃん。めっちゃいい匂いするんだよ」

「は? なんだよそれ」


突然、世羅の口から出てきた水野の名前に、心臓がドクンと音を立てて反応した。


「すごく甘い匂いがするんだよね。香水とかじゃなくてさ、僕らの嗅覚だからこそわかる匂いっていうの? きっと血もおいしいに決まってるよ。愛菜ちゃん可愛いし、いつか吸血したいな~って思ってるんだ」

「アイツはやめとけよ」


なぜかそんな言葉がとっさに出ていた。

どうしてか、水野を世羅に吸血させたくないと思ったんだ。