俺に触れてこようとした手を、パシッと払いのけた。
世羅が言おうとしていることはわかる。
けど、俺にもプライドってもんがあるんだ……。
「はあ……いい加減タブレットなんてやめて吸血しなよ」
俺の隣で髪の毛をセットしながら「あれマズいんでしょー」と笑う。
そう。こいつも俺と同類。
──ヴァンパイアだ。
ヴァンパイアは匂いで察知することができるから、お互いの存在は認知し合える。
クラスにこいつがいたときは正直驚いた。
「あ、今日もノートありがとねん。助かっちゃった」
女みたいな顔して笑う世羅は、モデルと学生の二足のわらじを履いている。
ノーテンキな性格だけど、ヴァンパイアだからそれなりの容姿を持ち、スカウトされて芸能界に飛び込むと瞬く間に人気になっ
た。



