すぐに吸血すれば問題ないが、吸血できないでいると、貧血の症状でふらつきや眩暈、しびれなどを伴い、日常生活に支障をきたす。
けど、普段人間の血を飲まない俺に吸血衝動が起きるなんて。
うそだろ……。
いったいどうなってんだよ……。
「……はあっ──」
体育のあと、俺はトイレの鏡の前でふらつく体と呼吸を整えていた。
吸血衝動を感じてから、体調不良は日に日に増す一方だった。
吸血の代わりに使用しているタブレットでも補えないほど。
「理都くん、顔色悪いけど大丈夫ー?」
顔をあげると、鏡にはクラスメイトの世羅。
心配そうに眉をひそめる姿が映っていた。
「……べつに、なんでもねえ」
そう言うのでさえ、息が切れる。
「理都くんさあ、もしかして──」
「うるせえよ」



