Precious Blood(プレシャスブラッド)と呼ばれ、ヴァンパイアにとっては崇めるべき血を持つ人間。


「まさか、水野が……?」


水野はいたって普通の女子だ。

そんな水野が特別な血を持っているとは考えにくい。


ただ……。

水野の血の味を思い出した瞬間、体に電気が走った。


『あの、ありがとう……っ、ケガを治してくれて』


そのときの水野の艶っぽい表情までよみがえり、なんかこう……胸の真ん中が疼く。


なんだよ、これ……。

はじめてだ……こんなの。

心臓がドクドクと鳴り、全身に血が駆け巡るような感覚。


「もしかして、これは……」


……吸血衝動……?

普段から人間の血を飲んでいるヴァンパイアは、一定の間隔で吸血衝動が起こるのは正常とされている。