ついさっき、ここへ向かっていたときに柄の悪い集団につかまった。


『お前、俺の彼女に手ぇ出しただろ』


……こんな言いがかりはいつものことだ。

俺は女に興味ない。

外見だけに惑わされて言い寄ってくる女は特に。

むしろ、そんなやつとはとっとと別れろって忠告してやりたい。

そのまま裏庭まで来いと言われ、仕方なくついて行った。

その方が俺も都合がいい。


殺気を使うのは、できるだけ人目に触れない方がいいから。


『一発殴らせろ。じゃないと俺の気がすまねえ』


殴れるもんなら殴ってみろよ。痛い目にあうのはお前だから。

心の中であざ笑ったとき、


『ちょっと待ってくださ……うわあっ……っ!』


女の声が割り込み、そしてその声は地面に落ちた。


誰だアイツ……?

見ると、ひとりの女が盛大に倒れている。