「理都くーん」
校舎内に入ると、名前も知らない女たちが俺を見て騒ぎはじめた。
……うるせえ。
眉をしかめて視線を飛ばすと。
「きゃっ、こっち見た!」
「理都くんからのファンサやばーい」
ファンサ?
なんだよそれ。
窓ガラスに映る人間離れした自分の姿を睨みつけ、そのままある場所へと向かった。
185センチ、64キロ。凹凸のハッキリした顔面のパーツ。
白い肌に、色素の薄いサラサラの髪。
人間離れしていて当然だ……人間じゃないんだから。
俺は、ヴァンパイアだ。
ヴァンパイアと人間は共存しているから、べつに自分が特別な存在だとは思わない。
人間にとってヴァンパイアは憧れの存在だと言われるけど、怖がっているやつもいることは知っている。
それに、ヴァンパイアには特殊な能力が備わっている。