「……べつに。お前だからだし……」


ボソッと言うと、理都くんはくるりと踵を返した。

えっ、それってどういう意味……?


そう聞く隙も与えない速さで、理都くんはここから去って行った。

その後ろ姿は、堂々としていてなんでも完璧にこなすハイスペックなクラスメイト……には間違いないけど。

理都くんが、ヴァンパイアだったなんて。


触れられた膝に、そっと手を置く。

ここに、理都くんの唇が……。

さっきの出来事を思い出したら、また胸がドキドキしてきた。

このあと、どんな風に理都くんと顔を合わせたらいいの?


ああっ……どうしよう。

私は頭を抱えてその場にしゃがみ込む。


──私は今日、クラスメイトのとんでもない秘密を知ってしまった。