一見ラズベリー味のタブレットと言われても疑わない。

これが血の代わり……?


「便利、なんだね?」


感心しながら言うと、理都くんはふっと笑った。

はじめて見た理都くんの笑顔に、なんだか心がふわっと温かくなる。

思えば、いつもクールな理都くんの笑ったところなんて見たことなかったな。


「人間の血は飲みたくないからな」


理都くんはタブレットをもとにもどして、ヴァンパイアらしからぬことを言った。


「どうして?」

「どうしてって……お前、人間だろ?」


吸われてもいいのか? とその目は言っている。


「そうだけど……記憶を消せるなら、結局知らないわけだし……。生きるための手段ならしょうがないのかなって」

「やっぱお前、変なやつだな」

「そう、かな?」