理都くんは、必死に言葉を選んでいるようだった。
眉間にシワを寄せながら。
「お前……今、俺がしたこと全部覚えてるのか?」
そう言われて、さっきの行為を思い出して顔がジンジン熱くなってきた。
「そ、そりゃあ……」
目をそらしながら言えば、理解不能って言うように頭を抱える姿が視界の端に映る。
「普通の人間は、覚えてるわけないのに……。いったいどうなってんだ」
ひとりごとのようにつぶやくそれが、私の耳にはバッチリ届いてギョッとする。
「そ、それってどいういう意味……?」
普通の人間て……。
まるで、私が普通の人間じゃないみたいな。
「お前……本当に何者だ……?」
再びそう言った理都くんの口の中から、尖ったキバのようなものが見えた。
それは……。



