「自分が出てって、なにかできると思ったの?」
「ごめん、なさい」
助けに行こうとして、このザマ。
「男のケンカには口を突っ込まない方が身のためだよ。巻き込まれたらどうすんの」
私の前にしゃがんだ理都くん。目の高さが合う。
「……うん」
そりゃそうだよね。
理都くんの言うとおり。私になにかできるわけないんだ。
「てか、俺が一発殴られればすむ話だったんだからさ」
諦めたような物言いをする理都くんの顔は、なんだか寂しそうに見えた。
俺が一発殴られれば……って。
「そんなのダメだよっ!」
私はその場に座り込んだまま、理都くんの目をまっすぐ見つめて言った。
すると面食らったように目を見開く理都くん。
見るなって言われたけど、これだけはちゃんと伝えないと。
「殴られていい人がいるわけないもん!」



