「んだとおっ!? あんな美人に言い寄られてスルーできる男がいるかよっ!」
「アンタの彼女がどれだけ美人か知らないけど、俺は1ミリも興味ねえよ」
「……っ、ユリのことをバカにしやがって!」
「……はあ?」
頭から湯気が出そうな勢いで怒り狂う先輩の前で、理都くんは冷静に言い返す。
確かに言ってることがめちゃくちゃだ。
だったら、理都くんが先輩の彼女の誘いに乗ればよかったの?
先輩相手にも、マイペースなところはさすが理都くん。
理都くんはモテるから、こんな言いがかりが日常茶飯事なのかも。
これじゃあ、モテることに疲弊するのもわかる気がした。
「一発殴らせろ。じゃないと俺の気がすまねえ」
先輩は手をこぶしにして、理都くんの顔の前で構えた。
ええっ。
殴るの!?
それはダメだよっ。



