好奇心から奥の方に足を進めてみると、そこにいたのは数人の男子。


うわっ。

しかも、ひとりの生徒を複数人で囲んでいる。

なんだか、いやな雰囲気……。

誰も寄りつかないのをいいことに、こんなところでいじめ……?


眉をひそめながら様子をうかがって。

囲まれている人物を見て、私は声が出た。


「え、理都くん……?」


理都くんの佇まいはいい意味で目立つから、遠目にもはっきりわかったんだ。


どうして理都くんが……?


「デタラメ言ってんじゃねえよ!」


理都くんの前に立つ赤髪の先輩が、理都くんの胸ぐらをつかんだ。


ひゃああっ……!

男の人のケンカを見るのは初めて。私は両手で顔を覆う。

いったい何事!?


「お前、俺の女に手ぇ出しただろ」

「……してないけど」