私の中で、理都くんはすっかり苦手な人になってしまった。

うっかり目が合っただけで睨んでくるから。

見るなって言われても、同じクラスだし無理だよ。

むしろ、私を見てるのは理都くんの方なんじゃ……そうでなければ、私が理都くんを見てるって気づかないよね?


「愛菜、どしたの? ぼーっとして」

「あっ、ごめん」


みんなでお昼ご飯を食べ終わって、まったりタイム。

みーちゃんに肩を揺さぶられて、ハッと我に返った。

教室をぐるりと見渡すと、理都くんはいないようで安心する。

お昼休みは、他のクラスから理都くんを見に来る子たちから逃れるように、理都くんはどこかへ消えてしまうんだ。


「べつに謝らなくっていいんだってば!」

「あはっ、そっか。だよね、へへっ」

「も~、愛菜ってば可愛い。私が男だったら絶対に彼女にしてたよ」


そう言って、ぎゅーっと私を抱きしめるみーちゃん。

フローラルの優しい香りに包まれて安心する。私はこの匂いが大好きなの。