そう言った瞬間、視界が暗くなり。
──唇が、重なっていた。
するといったん唇が離れて……すぐに2度目の唇が押し当てられたとき、唇を割るようにするりと滑り込んできた熱。
「ふっ……あ……んっ」
開いた口の隙間から、思わず声が漏れてしまった。
出すつもりはなかったのに、無意識に。
それが余計に自分の羞恥を煽る。
でもその直後。
口の中に微かに広がったのは鉄の味。
これは私でもよく知っている血の味だ。
これが……血の交換──?
私の口の中でゆっくり動く熱。
どうしていいかわからず、されるがままになっているうちに、しだいに意識がもうろうとしてくる。
もうダメ……体に力が入らないよ……。
今回は血を吸われていないのに、まるで全力疾走したみたいに呼吸が苦しくなった。



