「私は……どうしてればいいの?」

「全部俺に任せて」

「……うん」


黙ってうなずくと、理都くんが自分の口の中を動かすのがわかった。

自分で舌を噛むなんて、痛いに決まってるよね……。

想像しただけで、顔が険しくなる──と。


「そんな顔してたらキスできないよ」


理都くんの顔がもうそこまで近づいていた。

……っ。

いよいよだっ。

ドキドキは最高潮。


「あのっ……」

「……なに?」

「わ、わたしその……キ、ス、……したことなくて」


こんなカミングアウト恥ずかしくてたまらない。

理都くんは、どうなんだろう。

いくら人間に興味がなくても、これだけモテればキスの一度や二度くらいあるよね。

そう思って、なぜかまた痛む胸。

理都くんは優しく微笑んで。


「全部俺に預けてくれればいいから」

「えっ」