「すごっ! 要(かなめ)先輩に手当てしてもらうとキレイに治るって噂、あれ本当だったんだね」
百花ちゃんは、体育の授業で転んだときに腕を擦りむいちゃって。
週末にバレエの発表会があるのに、腕に傷なんて作ってどうしようと落ち込んでたんだ。
「わあ、すごい」
私も見せてもらって、ほわーっと感心した。
3日前はかなり血も出て傷も目立っていたのに、今では傷があったのがわからないくらいになっている。
要先輩って、すごいなあ。
「発表会までに間に合ってよかった」
百花ちゃんは、すごく嬉しそう。
授業をサボっていつも保健室にいる、3年生の蓮水(はすみ)要先輩。
彼に手当てしてもらうと、あっというまにケガが治ると言われてるのは有名な話。
しかも、痕も残らずキレイに。
魔法の手、なんて呼ばれてる。



