そうすれば、理都くんも後ろめたさを感じずに、私を吸血できるよね?

私だけ守ってもらうなんて、そんな都合のいいことできるわけない。

声を震わせる私を前に、理都くんは少し呆れたような息を吐く。


「水野の血は特別だって言ったよな? それはたぶん……数百万人にひとり」

「……っ」


数百万人……そんな稀な確率……?

す、すごい。


「この間も言ったけど、Precious Bloodは、ヴァンパイアの誰もが一度は出会ってみたい血なんだ」


うん。でも、自分がどうしてそんな血の持ち主なのか見当もつかないよ。

私はごく普通の両親から生まれたのに。


「その血に出会ったら誰にも教えたくないし、ひとり占めしたいに決まってる」


──ドキッ。

まるで、理都くんにひとり占めしたいと言われたように思えて。