だけどすぐにいつものクールな表情に戻る。


「言わなかった? なかったことにしてって」


やっぱり今日も、そう言われたけど。


「聞いちゃったものは、なかったことにできないよ……」


それに、理都くんから言ってきたんだから。

理都くんは私に背を向けてソファまで歩くと、腰をおろして私を見上げた。


「この間、蓮水に絡まれてただろ」

「え……知って、たの?」


バレーボールで遊んでたときのことだ。


あれ、見られてたんだ……。

それから理都くんは、顎に手を添えながらひとりごとをつぶやく。


「まあ……蓮水だけは心配だよな……」


……理都くんは、私が要先輩から逃れるために契約すると思ってるんだ。

ちゃんと、言わないと。


「それでねっ、契約するなら、理都くんにも吸血してもらいたいの」

「……は?」