見失わないようにしっかり目に焼きつけて、続けて角を曲がったとき、


「あれ?」


あるはずの背中がなくなっていた。

うそでしょ?

旧校舎はこの先なのに、どこに行ったの?


どうしよう。見失っちゃった……。

その場に突っ立って焦る私に。


「やっぱりストーカー?」

「ひゃっ!」


振り向くと、ポケットに手を突っ込んだまま、首をかしげながら私をジト目で見ている理都くんが。

ど、どこに隠れてたの!?


……まって。

ということは……。


「もしかして、気づいてた……?」

「まあね」

「どのあたりから……」

「わりと最初から」


ううう……。

私、忍者にも探偵にもなれそうもないや。


「俺になんか用?」


冷たく落とされる言葉は、まるで因縁をつけられたあの日のようで。