あ、行っちゃう。
「ごちそうさま……っ」
まだお弁当は半分も残っていたけど、仕方なく蓋をする。
「頑張ってねー」
「うん!」
ちょっぴり罪悪感を抱きながら、私はみんなに手を振った。
廊下に出ると、ちょうど理都くんが階段を下りていくところだった。
早く追いかけなきゃ。
忍者みたいに忍び足でコソコソ移動しながらあとを追った。
ポケットに手を突っ込みながら、周りからかけられる黄色い声を一切無視して堂々と歩く姿は気持ちいいくらい。
誰もが、その圧倒的オーラに目をうばわれているのがわかった。
階段を下りきると、理都くんはどんどん人けのない方へ歩いていく。
尾行するなんてはじめての経験。
探偵になった気分でドキドキが増す。
あの角を曲がればもう旧校舎へ入るところで。