悪意など全くなさそうな顔で、眩しそうに目を細める。

理都くんと違って、太陽が似合わない人だな、と思う。


……ある意味ヴァンパイアらしいのかも。


「ほら」


ここは外だし、人もたくさんいるし。

間違っても吸血されることはない。

大丈夫、だよね?

呼吸を整えて、足を前にすべらせたとき。


「きゃあ~~~」


背後から黄色い声が上がった。

何事かと振り返ると、要先輩に気づいたみんなが、大騒ぎしていたのだ。

こっちを見ながらぴょんぴょん飛びはねてる子もいる。


わあ……。

いつも保健室にしかいない彼にグラウンドで会えるなんて、レア中のレアだもんね。

すると、要先輩の視線は私から彼女たちに移動した。


「いくよー」


少し声を張った要先輩は、ボールを上に掲げる。


……ここからパスするってこと?