「そーれっ!」


翌日、お昼休みに校庭でバレーボールをすることに。

体育の授業でやってるから、バレーボールのおもしろさにみんなハマっちゃったんだ。


「うわ~」

「どこに打ってるのよ~」


バレー部の子はいないし、みんなそれなりの腕前だけど、それもまた楽しいの。

私、球技は苦手だから、気楽にやれるのがいい。


「うわー、愛菜ごめんっ!」


私にトスされたボールが、頭の上のはるか向こうに飛んでいく。

打った子に「大丈夫だよ~」と返して、私はボールを追いかけた。


コロコロと転がっていくボールはグラウンドの端っこまで来て。

誰かの黒いローファーの先で止まった。

その足の主は、私より先にボールを拾い上げてくれた。


「はい、どうぞ」


聞き覚えのある声に、嫌な予感がして。

顔をあげて、ビンゴ。

血の気が引く。


「要……せん、ぱい……」


それは、今一番会いたくない人だったから。