「きゃっ!」


そんなことを考えながら階段を下りていたら、踊り場で下から来た人と鉢合わせ。


「す、すみませんっ、……うわっ……」


ぶつかる寸前で謝ったけど。

それが理都くんだとわかった瞬間、思いっきり顔が引きつった。


だって、今ふたりで会うのめちゃめちゃ気まずい……!

さっき泣いてるところを見られちゃったから。

逃げたりして、変に思われてないかな……。

いたたまれなくてすり抜けようとすると、理都くんも同じ方向に足を出した。


「……!?」


なんで?

進むのを妨害されてる……?

見上げると、心なしか哀しみを纏ったような瞳とぶつかった。

ドクン、とひとつ胸が大きく鳴った。


「──あ、」

「この間言ったこと、なかったことにして」

「……へ?」