雑誌をパラパラめくっていた梨央ちゃんが、紙で指を切っちゃったみたい。


「紙で切ると地味に痛いんだよねぇ。うわ、血も出てきた」

「だったら要先輩に手当してもらえば?」

「いいかも! そうしようかな」


ルンルンで話すみんなに、ぎょっとする。


うそでしょ!?

今まで魔法の手だと思っていた要先輩の実態を知ったからには、友達を保健室に行かせるわけにいかない!


「待って! 私、貼るだけで治りがよくなる絆創膏持ってるの! わざわざ保健室行くの大変でしょ……っ」


ポケットからさっと絆創膏を手渡して、梨央ちゃんに渡す。

せめて友達は守れるように、保健室に行くのを阻止させようと、絆創膏を持ち歩くようにしたのだ。

もちろん、自分のためにも。


「そーおー? ……じゃあそうしようっかな。ありがと、用意がいいねっ」