慌てた世羅くんが、私の肩に手を置いた。


どうしてだろう。

自分は短命になることを知ってるのに、私を守ろうとしてくれてることとか。

理都くんの不器用な優しさがすごく苦しくて、涙が止まらないんだ。


「大丈夫だよ。理都くんはそんなにヤワじゃないから。たとえだよ、一般的なたとえ!」


必死になぐさめてくれる世羅くん。

でもそんな風に言われれば言われるほど感情が揺さぶられて、涙が止まらなくなった。


止まってよ、私の涙。

世羅くん困ってるのに。


と、そこへ。


「あ、理都っ……!」


世羅くんの慌てる声にハッとして顔をあげると。

涙でぼやけた視界に、理都くんが映る。

一足先に教室を出ていこうとしたのか、私たちの横を通過しようとしていたのだ。

私の顔を見て、理都くんが一瞬驚いたような表情をしたのが、ぼやけた視界でもわかる。


やだ……泣いてるとこ、見られちゃった。


「っ……」


そのときちょうどチャイムが鳴ったから、私は理都くんよりも先に、逃げるように家庭科室を出て行った。