ここでだけ聞こえる声で。
みんなそれぞれの作業に集中しているし、ここで話していることは誰の耳にも届かない。
もちろんその吸血っていうのは、記憶を操作して勝手に、ってことを意味するんだけど。
「してるよー」
当然のように答える世羅くんは、全く悪気はない様子。
……当たり前だよね。
ヴァンパイアにとったらそれが自然で、生きるための手段なんだろうから。
「僕さ、この間ヴァンパイアのドラマ出てたでしょ?」
「うん」
すごくおもしろくて私も夢中になって見てた。
世羅くんのヴァンパイア姿がすごくはまってて、吸血シーンはリアルでかっこいいってすごく評判がよかったんだ。
「あのときほど、自分がヴァンパイアでよかったなーって思ったことはないよ」
「え?」



