「それで、俺は追いかけて傘を返したんだ」

「そしたら花耶ちゃんが申し訳そうな顔をして、「気づかれちゃったなら、逆に貸さない方がよかったですね・・・。気を使わせちゃってすみません」って」

「ああ、なんて馬鹿な子なんだって。他人に優しすぎて、損ばかりしてる。守ってあげたいって」

「そのことを日和に話したら悲しそうに笑ってた。「そうなの、いつも自分が後回しなの」って」

「その時思ったんだ」

「絶対、この子を一番に俺が考えてあげようって」

「優しすぎるこの子に俺も優しさを返したいって」


「ねぇ花耶ちゃん」

「一生守るよ」


そう言って風岡さんは笑った。