【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

「やがて両親は泥沼離婚。どちらもすぐに新しいパートナーが出来たので、二人とも俺を引き取りたくないと言い張りました。そこで俺は……その……グレまして」

 目の前の麗しい青年と『グレる』という言葉が結びつかず、私は真剣な話の途中にもかかわらず「え?」と目を丸くしてしまった。

 この品行方正を絵に描いたような好青年が、うっせぇわって言ったり、窓ガラスを割ったり。盗んだバイク(この世界では馬?)で走り出したりしたのだろうか。

 
 ダメだ。全然イメージ出来ない……。
 
 
 呆然とする私に、アシュレイが慌てた様子で「グレたといっても、犯罪行為はしていませんよ。ただ、少々……やんちゃというか。喧嘩に明け暮れたくらいで」と付け加える。

 その補足説明に私はますます「えぇっ!? 明け暮れたんですか……!」と驚いた。
 
 物腰柔らかで上品な彼からは想像もつかない。
 
 ひとって見かけによらないのね……と思わず口にしてしまい、アシュレイが「忘れ去りたい黒歴史です」と恥ずかしそうに呟いた。