【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

「イアン様、あそこ屋台でジュースを売ってますよ。一緒に、買いに行きましょうか」

「行くっ!」

 それまでどよ~んとしていた少年の目が、一瞬にして輝きを取り戻す。

「俺は荷物の番をするので、すみませんがイアンを頼みます」
 
「はい、分かりました。アシュレイ様は何を飲みます?」

「では、コーヒーをブラックで。支払いはイアンに任せてやって下さい。――みんなの分、買えるよな?」

「もちろんだよ!」と、イアンがリュックの中から小さな財布を取り出す。

 私たちは公園の一角にあるジューススタンドへ向かった。


 私は冷たい紅茶、イアンは洋梨ジュース。アシュレイの分のアイスコーヒーを買って店を後にした。
 

 きちんと支払いが出来たイアンを褒めつつ、来た道を戻った私は、目の前の光景に唖然として足を止めた。

 隣のイアンもあんぐり口をあけて固まっている。


 私たちの視線の先――ベンチに人だかりが出来ていた。