【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

「すみません。まさかこんなことになるとは……私がもっと調べておくべきでした」

 しゅんとうなだれる私に、アシュレイが「あなたのせいじゃありませんよ」と首を横に振った。イアンも自分の前髪をいじりながら、うんうんと頷く。

「ビッキーは悪くない! 僕、アシュレイの切った変な前髪で学校いってたら、絶対にいじめられてた。だから、ビッキーのおかげで、いちのひろった」
 
「それを言うなら『命拾い』だな」

 アシュレイのツッコミに「言い間違えただけだもん! 知ってるもん」と頬を膨らませるイアン。

 無残なパッツン前髪はプロの手によりオシャレっぽく整えられ、彼の可愛らしい顔立ちを引き立てる見事な髪型に仕上がっていた。

 必死に自分を慰めようとする親子に「ありがとうございます」と告げると、二人は同時ににっこりほほ笑んだ。

 しばらく歩くと、目の前に大きな公園が見えてきた。中央には噴水があり、その周りを円形にぐるりと囲むようにベンチが設置されている。
 
 公園脇には飲み物や軽食を売る屋台があった。

 少し休んでいこうかというアシュレイの提案に、私は「そうしましょう」と頷き、イアンは再び「いのちびろいしたゼ」と覚え立ての単語を呟いた。