【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

 まず最初に、私はエリザに視線を向けた。

「エリザさん、私は貴方に意地悪をしたつもりはありませんでした。ですが、オスカー様との親密な様子に腹が立ち、不快に思っていたことも事実です。強い口調で傷つけてしまい……ごめんなさい」

 真摯な謝罪を述べたあと、私は深々と頭を下げた。途端、周囲でどよめきが起こる。

「あの気位の高いビクトリア様が頭を下げたぞ……」

「侯爵令嬢が下級貴族令嬢に謝罪するなんて、前代未聞よ」

「婚約者を奪った相手に謝るなんて、まさに大人の対応ね」

 様々なヒソヒソ声が耳に届く。

 みな、私の行動に驚いている。

 本音を言えば、自分の婚約者を横取りした女になんか謝罪したくない。

 そもそも私は虐めていないし、なんなら被害者はこちらの方だわ――!

 そう思う反面、ちょっと言い方がきつかったかな……と反省する部分もあるのだ。

 何せ私は『使用人の替わりなどいくらでもいる』と平気で言ってしまえる父の娘。
 
 もしかしたら無意識に、エリザを見下すような態度をとっていたのかもしれない。