「はい、ありがとうございます。実は、妻と相談して少人数の結婚式にしようと思っているんです」

「お? そうなのか。 まぁ、お前の場合、公開結婚式にしたら野次馬や新聞記者が詰めかけて来そうだしなぁ」

「ええ、そうなんです。詳細が決まりましたら、招待状をお渡しいたします」

「おう、楽しみにしてるぜ!」

 マクガレンは、いつも通りニカッと豪快に笑うと、アシュレイの肩を叩いて家族と共に去っていった。

 アシュレイの隣では、ビクトリアがマクガレン夫人に会釈をして、イアンがキャシーに手を振っている。

「さてと、俺たちも指輪を選ぼうか」

「ええ、そうしましょう!」

「僕、ビッキーとアシュレイにはこのゆびわ、にあうと思うんだぁ!」

 イアンが指をさす。アシュレイとビクトリアは「どれどれ」とイアンおすすめの指輪を見た。

 派手好きなイアンと、シンプルかつ上品な物を好むアシュレイ。
 ふたりの意見はまたも合わず、どうにか指輪を決めて店を後にする頃には、夕暮れ時になっていた。