【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

 他の騎士達が民衆に愛想よく手を振る中、最も歓声を浴びている騎士――アシュレイ・クラークは、馬上で凜と前を向いていた。


 さらりと風に揺れるヘーゼルブラウンの柔らかな髪。

 透き通った瞳にすっと通った鼻筋、引き結ばれた薄い唇。
 遠目から見ても分かる美しい容貌。
 優雅な仕草と上品な佇まい。

 白馬に乗った姿は騎士というより、まるで物語の中の王子様みたいだった。
 
「アシュレイ様~!」と女性達が熱烈なアピール合戦を繰り広げる。
 
 黄色い歓声を浴びてもなお、アシュレイは特に気にした様子もなく……というか完全に無視して、前だけ見て行進していた。

 他の騎士みたいに手を振ったりしない。
 どうやらファンサービスはしないタイプらしい。

 せっかくのイケメンなのにニコリともしないなんて勿体ないわね……なんて思っていると。

 
()びない硬派な所がますます素敵!」
「ああっ、今日もあの冷めた表情が最高ですわ~!」
 
 ファンにとっては、その無愛想な塩対応がご褒美らしい。

 平民貴族とわず、ご令嬢たちが頬を染めながら「きゃぁー!アシュレイさま~、こっち向いて~」と手を振りながら力の限り絶叫する。

 もしここに私以外の転生者が居たら『ここはアイドルのライブ会場か!?』と驚くだろう。

 それほど、パレードは色んな意味で異様な盛り上がりを見せていた。