【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

「使用人を切り捨てるような、そんなずる賢さ、私は要りません」


 拳を握りしめ告げた言葉は、やはり両親には届かなかった。

 
「私たちに見放されたくなければ、我々の言うとおりにするんだな。ビクトリア」
 
 
 そう言って、両親は私の意見などまるで無視して去って行った。

 部屋に、私とレイラだけが取り残される。

 
「お嬢様、あまり旦那様に逆らわない方が良いと思います。エリザ様への虐めは、私がやったことにしましょう。お嬢様のお役に立てるのなら本望です」

 そう言って、レイラは気丈にほほ笑む。

 この先も貴族として生きるのなら、父の言うとおり、他者を切り捨てる覚悟も必要なのだろう。

 だが、そんな冷酷な決断をしなければ生き残れない世界なら、貴族社会は私には向いていない。しがみつきたい理由も、未練もない。

 
 私は首を大きく横に振った。

「ありがたい提案だけど、それは駄目。レイラに責任を押しつけるようなこと、したくないわ」